10年ぶりに観光警察隊廃止の危機..."外国人観光客は回復傾向なのに" vs "警察固有の業務ではない"
2013年に発足した観光警察隊が10年ぶりに廃止の道を歩んでいる。警察が先月から現場治安強化に焦点を当てて進めている組織改編の一環だ。警察内部では、観光警察隊の廃止に対する反応が分かれている。パンデミックが終わり、国内に入る外国人観光客の数がパンデミック前の水準に急速に回復しているためだ。
26日、朝鮮ビズの取材を総合すると、警察は今回の組織改編でソウル、仁川、釜山にある観光警察隊を廃止する計画だ。現在、三地域の観光警察隊には90人余りの人員が勤務中だ。観光警察隊が廃止されると、彼らは交番をはじめとする全国の治安第一線に再配置されるとみられる。
しかし、観光警察隊の廃止が治安強化に実質的な助けになるかは疑問だという指摘がある。毎月国内に入る外国人観光客の数が急な回復傾向を示しているからだ。国土交通部の航空統計によると、昨年9月の国籍航空会社と外資系航空会社を利用した国際線・国内線旅客数は851万8806人だ。昨年9月(472万2621人)より80%増加した数値だ。パンデミック直前の2019年9月(936万3766人)と比較すると、観光客規模は90%水準まで回復した。
警察関係者は「観光警察隊は、海外観光客と円滑にコミュニケーションできる警察の人員を除いて作った一種の特殊目的集団」とし、「観光警察隊が廃止されると、最前線の地区隊や交番が観光客に対応することになるかもしれないが、そのような業務形態が治安に役立つかどうか疑問だ」と述べた。
ソウルのある主要観光地に位置する交番で勤務中のA警察官は、「観光警察隊が廃止されるということ以外に、今後彼らの業務をどこで誰がどのように担当するのかは全く決まっていないようだ」とし、「業務が手当たり次第に分配されれば、治安現場はさらに混乱するだろう」と不満を漏らした。
観光警察隊は主要観光地を巡回し、観光に関連する犯罪を取り締まり・予防し、外国人観光客に地理を案内するなど、治安サービスを提供する役割を担う。外国人観光客を対象にした無許可宿泊業の取り締まりなども観光警察隊の主な任務だ。現在、ソウル・釜山・仁川警察庁の3つの傘下に観光警察隊があり、ソウル観光警察隊は2013年10月に発足し、明洞・弘大・梨泰院などソウル主要観光地6ヵ所を担当している。
これに先立ち、ソウル警察庁は去る7月、ソウル市鍾路区嘉会洞の北村韓屋村の入り口に観光警察隊の鍾路センターを新設した。青瓦台や景福宮などを中心に外国人観光客が着実に増加し、これに対応するためだった。しかし、今回の組織改編で観光警察隊が廃止されると、鍾路センターの職員たちは半年も経たないうちに職場を移らなければならない立場になる。今回の組織改編があまりにも急いで行われたのではないかという声が警察内のあちこちで出ている理由だ。
しかし、観光警察隊の廃止は今回が初めてではない。昨年8月、キム・グァンホソウル警察庁長は、ソウル観光警察隊を廃止する案を検討するよう指示したと伝えられている。警察固有の業務でないものは思い切って整理しなければならない」という趣旨だった。 しかし、当時、ソウル市自治警察委員会(自警委員会)がこの件に反対の意見を出し、中止になった。
観光警察隊側は組織改編の内容を受け入れる雰囲気だ。観光警察隊の関係者は、「警察が大きな枠組みで推進する組織改編の一環なので、特に同意も反対もしない」とし、「私たちが嫌だと言っても、今の流れをひっくり返すこともできず、結局は上で決めることだ」と話した。
観光警察隊員らが先月1日、ソウル中区明洞一帯を巡回している。